不思議の国ブリテン 第10回

テーマ::庭園の歴史と英国人の自然観
講  師:齋藤公江さん
日  時:2011年3月6日(日)14:00〜16:00
場  所:西宮市立勤労会館 第7会議室
参加者:15名

 
   「不思議の国ブリテン」は齋藤公江先生による英国文化探求の連続講義です。今回は庭園を通して英国人の自然観について考えるという講義でした。以下にまず先生の要旨です。

   要旨(齋藤先生より)
ケルト・アングロ=サクソンの国、英国。ケルトにせよ、アングロ=サクソンにせよ、森の民として知られ、自然を大切に思う人種であるということは、「ナショナル・トラスト」の話をした時にも、なにかと折に触れ、触れてきた問題でした。今回は英国式庭園や園芸用品取引の歴史などを体系的に踏まえ、チャーチルの生家、ブレナム・パレスやケントのチャートウェルの自宅の庭にもふれ、更には20世紀最高のシシングハースト・カースル・ガーデンやヒドゥコット・マナー・ガーデンという、イングリッシュ・ガーデンを生み出した人間たちの、庭に対する思いなどを交えながら、英国人にとって庭とはなにかを再考します。庭好きで知られる英国人の、庭への執念にも似た、すさまじい思いはどこから来るのか、その究極の思いに迫ってみましょう。
   日本においてガーデニング・ブームが始まって久しい時がたちました。なかでもイングリッシュ・ガーデンは日本の各地に広がっています。日本人も庭好きで良く知られていますが、それでは英国人と日本人の根底にある思いは一緒なのでしょうか。「庭」をとおして比較してみましょう。

   齋藤先生の「庭はエキステリアとインテリアのどちらと思いますか?」という問いから始まりました。ノルマン王朝によって大陸よりもたらされた中世初期の中庭式庭園は人間の全感覚を開放する「悦楽の庭」で、それはさらにメイズ(迷路)を伴った「官能的」なものへ発展しました。やがて中世都市が成立すると、そこには池や小川、芝地や果樹園のある整形式庭園が作られ、さらに16〜17世紀になると国を挙げての庭園文化の時代に入ってゆく。この時代、王の許可書を得ての園芸用品取引がはじまり、庭師という専門職もあらわれ、これは7年間の研修を経て公的に認められ濃紺のエプロンとバッジをつけることが許されたとのこと。現在でも庭師は看護婦とともに英国で最も尊敬される職業だそうです。
   そして18世紀、英国の庭園の大転換が“ケイパビリティー・ブラウン”の異名を持つランスロット・ブラウンによって行われた。風景式庭園(ランドスケープ・ガーデン)である。人間が手を入れたことが明らかな大陸的な「整形式庭園」に対して、自然の風景を取り込んだピクチャレスクな庭園には「自然のまま」という志向がはっきりと伺える。
   さらに20世紀初頭、モリスの弟子であったガートルード・ジークルにより、より自然な「コテッジ・ガーデン」へと向かう造園術が始まった。その影響を受け、古いマナーハウスを買い、庭園を造りだす人々が次々とあらわれる。彼らの、よほど手を入れなければ住めない古い家を買い、何も無いというところからみごとな庭を生み出すという、執念にも似た庭造りは限りなく「自然のまま」に見える庭を生み出した。庭は英国人の心そのもの、すなわちインテリアなのだ。こうして庭園を通して英国人のケルト・アングロサクソンへの心の回帰が見えるというのが講義の結論でした。 


   
齋藤先生制作のビデオ  DVD操作中の鵜野支部長 
 
  講義中、先生がビデオカメラを肩に担ぎ英国中をまわって作られたビデオにより、美しい英国式庭園がいくつも紹介されました。
   そして講義のあとには、先生手作りのクッキーとJSS会員の「メインバー」の川北さんのバースーツを紅茶とともに味わいました。
   このあとJSS関西のイベントは4月24日(日)の「アフタヌーンティーの集い」です。皆様の参加をお待ちしています。

                                            (香川久生記)
 
   
真剣に聞き入る参加者        左:齋藤先生手作りのクッキー 
        右:「メインバー」バースィーツ
 

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