アボッツフォード記念館と修復について 


 皆様の中にはスコットランドのアボッツフォード記念館を訪れた方がおられるでしょう。アボッツフォード記念館は19世紀初頭の英文学界を代表する詩人・小説家サー・ウォルター・スコット(1771−1832)が「湯水のように」資金を投じて、しかも6年以上の年月をかけて建てた夢の邸宅で、彼が憧れていた中世のお城のような作りになっています。邸宅そのものや、周囲の庭園や森林も素晴らしいのですが、邸内にはスコットが集めた数多くの珍しい収集品や武器類が所狭しと展示されています。もちろん書庫には膨大な数の皮表紙の本が並んでいます。客間の中央にはスコットが愛用した筆記用具などが展示されていますが、その脇に私どもが翻訳した『スコット伝』の1冊が開かれています。

 この邸宅はスコットの直系の子孫が代々維持管理し、スコット記念館として運営していました。ところが私たちにも大変親切にして下さったパトリシアさんとお妹さんのジーンさんが数年前に相次いで亡くなられた後、後継者がなかなか見つからなかったため、結局それまで記念館の運営を支えてきた人々からなるアボッツフォード・トラストという財団がその維持管理を担当することになっています。

 さて19世紀に建てられた邸宅はあちらこちら補修をする必要が出てきますし、広大な公園のようなアボッツフォードの敷地の手入れにはかなりの費用がかかります。見学客から徴収する入場料だけではこの維持費をまかなうのが困難になったため、このたび多目的ホールやカフェの新築を含む一大改造計画を財団では立ち上げ、そのための援助をスコットランド国内はもとより、全世界的に求めているのです。そこで財団に関係のある日本スコットランド協会にも募金の依頼が来たというわけです。


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