◆スコティッシュ・デイ2016◆
JSSスコティッシュ・デイ2016 in 東京 Shall we Burns?
有楽町《電気ビル》の20階。窓の外には優しい日差しを湛えた青空が広がっています。今年もここ日本外国特派員協会に、スコットランドをこよなく愛する124名もの人々が集い、バーンズの「生誕」をお祝いしました!
総合司会の山根篤さん
開会宣言は、司会の山根篤さん。スコティッシュ・デイ第一部は、日本スコットランド協会代表、高橋愛朗さんのご挨拶から始まりました。会食に先立ち、荘重なハギスセレモニーが行われます。
パイパーに先導され、うやうやしく捧げ持たれたハギスが入ってきました!
バーンズの好物だったハギス。スコットランドの伝統料理としておなじみですが、実は「ハギス」とは満月の夜に現れる毛むくじゃらの生き物だとか。でも「ハギス」を目撃した人は少ないそうです。大きな声では言えないけれど、それには訳があるそうなんですよ……。
まず最初にThe Selkirk Grace(感謝の祈り)が捧げられます。その後にはバーンズの詩の朗読(「ハギスに捧ぐ」)が続きます。バーンズの誕生日を祝うBurns Supperにはこの詩が欠かせません。高橋愛朗さんによるすばらしい朗読とパフォーマンスをご覧ください!
高橋愛朗代表理事による「ハギスに捧ぐ」
ハギスセレモニー
なかなか考えさせられる儀式ですよね。そしてユーモアのセンスもたっぷり。いいなあ、こういうの。
さあ、お待ちかねのランチ・タイム。おいしいお料理、たくさんいただきました! もちろんハギスもです。
お料理
みんなお腹がいっぱいになった頃。
……不思議な言葉が聞こえてきました!なんとゲール語です。
スコティッシュ・デイ第二部の開幕は、ゲール語で告げられました。スクリーン字幕つき!
舞台に「ゲール語でスコットランド文化を学ぶ会」のみなさんが登場しています。略して「ゲール語の会」。講師は村山さんと新保さん。スコットランドでゲール語を学んできた新進気鋭の若手のお2人です。
ゲール語の話者数はスコットランド内で現在約5万8千人。ユネスコによる絶滅危険度でも「危険」とランク付けされている言語です。でも、アジアのはずれのここ日本で、そのゲール語を学んでいる人たちがいるという事実。なんだかしみじみ感動しますね。
では、気持ちを新たに、ゲール語で「乾杯!」(Slàinte mhath スランチェバー!)
ゲール語のパフォーマンス
続いて日本語とスコッツ語によるバーンズの詩の朗読です。
スコッツ語での朗読はチャールズ・マーシャルさん。原語の響きとリズムが印象的で、ほんとにすてきですね。
今日、朗読された詩は二つ。日本語版での朗読は、全く対照的なお二人の男性が担当されました。
Auld Lang Syne(1788)
(東浦義雄訳。朗読は佐々木毅さん。重ねた長い年月が香り立ってくるような、味わいのある朗読でした!)
A Red, Red Rose(1794)
(中村匡克訳。情熱的なこの詩の日本語訳を読んでくださったのは・・・うら若い、大学生の青年でした!)
実に絶妙な人選ですね!
バーンズの詩を読む佐々木さん
チャールズさん
大学生
さあ、次は今回のハイライト!
牧野晴美さんの率いるSBBC Highlandersの登場です。伴奏は東京パイプバンド。
牧野晴美さん
ただただ見とれました。本当にすばらしい!
日々、丹念に身体を鍛えている人だけが出来るダンスです。衣装もそれぞれすてきでした。中でも剣を使ったSwordダンスの衣装は、ボニープリンス・チャーリーやバーンズの時代を意識したものだそうです。胸元と袖口に飾られた真っ白なレース。その豊かなひだが美しく、とても印象的でした。
ソードダンス
ハイランドダンサーのみなさん
続いてバグパイプ演奏(東京パイプバンド)。
バーンズセットの中には、もの悲しく美しい”Ae Fond Kiss”や、歌やダンスでも披露される、あの”The Lea-Rig”も含まれていました! そして”Duncan Johnston”に始まるパイプメドレーへ。途中で”Water is wide”も聞こえてきましたね。バグパイプの音には本当に心が揺さぶられます。もう言葉では、言い尽くせません。
東京パイプバンド
次は日本スコットランド協会のクラブ活動3団体によるコラボです。
スコットランドの歌を学ぶ「ホワイトヘザークラブ」と「ゲール語でスコットランド文化を学ぶ会」による歌。
仲間たちと一緒に私も心を込めて歌いました。原語で歌を覚えるたび、ますます心の中にスコットランドから風が吹いてきます。
ホワイトヘザークラブの合唱
そして「タータンクラブ」のダンス。
こちらのダンスはゆるやかで、親しみやすいカントリー風。踊るみなさんのふんわりした白いドレスがとっても素敵ですね。
タータンクラブによるカントリーダンス
The Shepherd's Crook
さて、ここでちょっとだけ曲目解説させてください。今年のスコティッシュ・デイ注目の1曲のこと。
それはパイプバンドも演奏し、ホワイトヘザークラブも歌い、そしてタータンクラブもダンスを踊った、あのバーンズの《The Lea-Rig》です!
ホワイトヘザークラブでチャールズ・マーシャル先生が教えてくださいました。Lea-Rigというのは「空き地」のこと。農地の中にわざと耕さずにおく「空き地」があるんですって。そこは畑のようには手入れが行き届いていないけれど、ゆっくりとくつろげる、デートにはうってつけの場所なんだそうです。
一日の労働が終わり、これからLea-Rigまで恋人に会いに行く……夕暮れ時、丘の向こうの東空に星が輝き出すころ……。
甘やかで幸福感に満ちた気分が歌われています。「あなたに会えるなら何も怖くない。私は黄昏が好き……」ですって。詞も曲も、そしてダンスも、ほんとにいいと思いませんか。リラックスした美しいメロディー。心から優しい気持ちになる曲です。バーンズにはドキドキさせられっぱなしですね!

続いて、KAAZ Celticの演奏です。大竹奏さんのフィドルと山根京子さんのピアノ。
しばし二人のハーモニーに聞き惚れました。
山根京子さん(ピアノ)   大竹奏さん(フィドル)
さてさてみなさん、食べて座ってばかりじゃだめですよ!
みんなでスコティッシュダンスを踊りましょう!……ということで、こんどは岡田先生のご指導のもと、Dashing White Sergeantというダンスに挑戦です。スコットランドではよく知られているダンスだそうですよ。今年は昨年よりもさらにグレードアップされて、難しい動きも入ってきました。Figure of 8、そしてReel of 3と呼ばれる動きです。みんな真剣。そして全員がマスターしました!すばらしい!
KAAZ Celticの生演奏で楽しく踊って、身体もすっかり温まりました!
みんなでダンス
12時から始まって、あっという間の3時間。
いつしかお別れの時が来てしまいました。名残を惜しむかのように、全員でAnnie Laurieを大熱唱。

そして……最後はやっぱりバーンズのこの歌です。パイパーを中心に参加者全員で3重の輪を作り、みんなで手を取り合ってAuld Lang Syneを歌いました!
Auld lang syne
厳寒のこの時期にみんなで集まってバーンズの誕生日を祝い、楽しいひとときを過ごす……スコットランドの人たちのこの習慣は、本当にすてきです。

《スコティシュ・デイin 東京2016》は、心も身体も温まって散会となりました。
外の風は冷たいけれど、春はもう、すぐそこ。
また来年もお会いしましょう。                         
(一條恵子)
(写真提供:平岩一美)

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