第1章
第5回 「グラスゴーの春の花」

日本では真っ盛りの春を楽しんでおられる事とでしょう。こちらグラスゴーも昨年11月からの長かった冬もやっと終わりました。冬の気温は日本の大阪に比べて特に低いわけではないですが、何しろ暗い。冬は朝明るくなってくるのが8時半頃、午後4時には暗くなる。加えて雨を伴った風の強い日が多くて(折りたたみ傘を2本壊しました)気分が晴れない。そのグラスゴーの冬も2月の中頃を過ぎると1日に数分の割りで夜明けが早く、日暮れが遅くなり、春が駆け足でやって来る。3月最終の日曜日から時間が1時間繰り上がり、いわゆる夏時間になるので最近の夜明けは7時頃、日没は19:40分になります。
グラスゴーの中心から西へGreat Western Roadを数km行ったところにグラスゴーの植物園がある。ケルビン川沿いに1842年につくられた現在の植物園は、当初はグラスゴー大学の植物学科や医学科に標本を提供するのが目的だったが、25年ほど前からグラスゴー市の管理下に入り今では学究的な目的よりは庶民への啓蒙や憩いの場所として利用されている。その面積11haは、スコットランド政府が運営しているエジンバラの王立植物園の28haに比べるとつつましく、本格的な研究施設などはないが、市街の中にあることもあって市民が気軽に利用している。横を流れるケルビン川畔の散策路も大都会の中とは思えない自然が満喫できる。
グラスゴーの植物園(Botanic Garden)入り口:ウエストエンドの中心にあり庶民の憩いの場となっている。
その植物園を訪れた。大きな木がまだ冬枯れの中にあって2月の始めから咲き出すのが球根植物類。その中で一番目をひくのがクロッカスで、これが咲き出すと"ああ、長かった冬も終わりだ"、と気分が明るくなる。紫、白、黄色とけっこう派手に群生する。
(写真左−植物園のクロッカス:2月にクロッカスが咲くと一度に春を思わせ、気持ちが明るくなる。)
グラスゴー大学のすぐ東側はケルビンググローブ公園である。19世紀中頃、工業化と人口の密集化が進む中グラスゴーで、ウエストエンド地域の市民に緑と空間を提供する目的でつくられた。有名なKelvingrove Art Galleries and Museumもこの中にある。この公園も3月中頃から花の季節になる。特に目に付くのはラッパ水仙の群生である。英名はダフォディル(Daffodil)。ギリシャ神話では冥土に咲く花だそうだ。花は黄色が多いが、白もあり又写真の大型の花とちがう小型のものもある。花はスコットランドではなくウェールスのシンボル・フラワーである。
ケルビングローブ公園の水仙:英名はDaffodil。この時期最もよく見られ、春本番を告げる。群生するので見ごたえがある。
3月終わりになると、球根だけでなく木々が花をつける。数本の桜の木が薄いピンクの花をつけていた。遠くからは日本の染井吉野と見紛うが、近づくと花は八重であった。ぽかぽか陽気の日なら花の下にご茣蓙を広げてお弁当とお酒と行きたいところだが、この国では公園など公共の場所での飲酒は禁止なのでこれは無理。桜はこの他、2月に咲くもっと白色で小さな花をまばらにつける清楚な感じのものと、4月中頃に咲く八重桜がある。
(写真左−ケルビングローブ公園の桜:花は八重だが、雰囲気は日本の染井吉野と同じです。)
住宅や道路脇によく植えられているのが'まんさく'。細かい枝に黄色で線形の花がびっしりと付き、茶花に使われる日本のものより黄色が濃く華麗な感じである。英名はJapanese Hazel Tree。桜と一緒に日本からやってきたののかもしれない。
(写真右−まんさくの花:人気のある花で、この時期方々で見る事ができる。)

スコットランドの花は今からがシーズンになる。八重桜、ブルーベル、チューリップ、薔薇、石楠花(日本のものより大型で高さ数mになる。花も赤紫、白、黄色、まだらと多様で豪華)、スコットランドのシンボルの薊と続き、8月の終わりになると丘がヒースの花で紫に染まる。原野は名も知れない花で溢れる。
スコットランドの花の鑑賞も良いものです。

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